こんにちは!
外国に長期滞在すると決まった時、誰もが一度は「友達、できるかな・・・?」と不安になりますよね。
特にウガンダみたいに、まったくの未知の国ともなればなおさらです。
でも、心配ご無用!
ウガンダへ行くときは、ウガンダ流の自己紹介さえできれば、誰とでも友達になれること間違いなしなんです!!!
僕たちがウガンダの人たちと交流する時にも大活躍した自己紹介の方法を、今日はご紹介します!!
STEP1 「クラン」について知る
STEP2 自分の「クラン」決める
STEP3 ウガンダ語の文に当てはめる!
STEP1 「クラン」について知る
ウガンダの人たちは、姓・名の他に「クラン」(clan)という名前を持っています。
“clan”は英語で「一族、一門」という意味です。
現在公式では46個のクランがあって(1996年時点)、ウガンダの人たちの多くは、その中から1人1つずつ自分のクランを持っています。
それぞれのクランには共通の先祖がいて、またそれぞれのクランを象徴する動物やモノがあり、各クランには族長的な現リーダーなる人物がいます。
僕たちの友人、フレッドの名前を例にみてみましょう!
彼の名前は、Fred Ssegona(フレッド・セゴナ)で、彼のクランはNgabi(ンガビ=ブッシュバックという、アフリカにいるシカみたいな動物)です。
つまり、彼は「ンガビ一族のフレッド・セゴナ」というわけです!
By Steve Garvie from Dunfermline, Fife, Scotland – Imbabala Bushbuck (Tragelaphus sylvaticus), CC BY-SA 2.0
このクランの結びつきはとても強く、たとえ血縁関係が全くなかったとしても、
同じクランに属しているだけで親戚とみなされ、逆に同じクランに属する人同士の結婚は近親婚とされて、認められない(例外あり)そうです。
また、「このクランに属している人はこの名前」といったように、クランごとにつけられる名前も男女ごとに決まってくるようです。
フレッドの場合、Ssegona(セゴナ)の部分がクランに由来しているので、
ウガンダの人はSsegonaと聞いただけで、彼はNgabiクランに属しているということがわかります。
日本人も苗字から共通の先祖を辿ったり、家紋といった文化がありますが、それらと似ているようで似ていない・・・
なんとも不思議な文化ですよね!
STEP2 自分の「クラン」を決める
それでは、今度は自分のクランを決めていきましょう!
とはいっても、もちろん日本人の名前はクランに対応していないので、対応表を探しても何も見つかりません。
では、どうやって自分のクランを決めるのか。
それはずばり、自分のフィーリングです!!!笑
僕たちの場合、友人のフレッドが僕たちのクランを決めてくれたのですが、
彼は彼の中の僕らのイメージを、クランの象徴する動物やモノに当てはめたそうです。
例えば、
Mpologoma(ンポロゴマ=ライオン)クランの人は、「強そうでエネルギッシュだから」
Mutima(ムティマ=心臓)クランの人は、「ハートフルな人だから」 といった具合です!
「そんな適当でいいの!?」という感じですが、 日本人の名前はもともとクランに属していないので、ウガンダの名前を1から作ってしまおう!という作戦です。
一度クランが決まってしまえば、それぞれのクランに共通して使われる名前が割り振られているので、あとはその中から好きな名前を選んでしまうだけ!
僕のクランはNkima(ンキマ=猿)で、このクランの代表的な名前として、 Ssali, Kafeero ,Lukwago…といった名前がありましたが、
フレッドはこれらの中から Mugema(ムゲマ)という名前を選んでくれました!
これは、Nkimaクランの現リーダー(Head of Clan)の方の名前と一緒です! 現地で出会った、同じクランかつ同じ名前のムゲマくんと
同じクランの人=親戚なので、どんなに見た目が似ていなくても、同じクランの人からすれば家族の1人!すぐに打ち解けてしまえる、というわけです。
以下に、クランの一覧表を和訳できるもののみでまとめてみました!
「自分はどのクランがいいかな〜」と考えながら、みてみてください!!!
「これ!」というクランが見つかったら、そのクランの「2つ目のシンボル」と「よく使われる名前」を書き出してください。
(※各クランには2つのシンボルがあります。その中でシンボルとしての認知度が低く、マイナーな方を「2つ目のシンボル」としてまとめてあります。)
クランの名前 | 2つ目のシンボル | クランリーダーの名前 | よく使われる名前 |
Butiko=マッシュルーム | Namulondo=マッシュルームの一種 | Ggunju | 男=Nngganda 女=Najjuka |
Ffumbe=シベット(ジャコウネコの一種) | Kikere=カエル | Walusimbi | 男=Kigozi 女=Nakigozi |
Kasimba=ジャネット(ジャコウネコの一種) | Ngo=ヒョウ | Kabazzi | 男=Buyondo 女=Nakimwero |
Kayozi=カンガルーネズミ | Nsombabyuma=蚕 | Kafumu | 男=Makaatu 女=Namuto |
Kibe=ジャッカル | Empiri=ヴァイパー(蛇) | Muyige | 男=Ssembuya 女=Nambuya |
Kinyomo=赤アリ | Mutima=心臓 | Nakigoye | 男=Kankaka 女=Nakayiki |
Kkobe=ニガカシュウ(ヤマノイモの一種) | Kaama=ニガカシュウとは別のヤマノイモの一種 | Namuwama | 男=Nsereko 女=Namale |
Lugave=センザンコウ | Maleere=マッシュルームの一種 | Ndugwa | 男=Mukiibi 女=Namukula |
Mbogo=バッファロー | Ndeerwe=マッシュルームの一種 | Kayiira | 男=Nnyanzi 女=Nannyanzi |
Mbwa=犬 | Kyuma kya Mbwa=狩りに使う犬用のベル | Matasingwa | 男=Gguluddene 女=Nakasi |
Mmanba=肺魚 | Muguya=肺魚の稚魚 | Gabunga | 男=Nsubuga 女=Nansubuga |
Mpeewo=オリビ(小さいウシ科の動物) | Kayozi=カンガルーネズミ | Kiggye | 男=Lubuulwa 女=Nnampiima |
Mpindi=ササゲ(マメ系の植物) | Kiyindiru=植物の一種 | Mazige | 男=Mbogga 女=Namuyimbwa |
Mpologoma=ライオン | Ngo=ヒョウ | Namuguzi | 男=Luwaga 女=Nalwadda |
Musu=アフリカアシネズミ(水辺に生息するでかいネズミ) | Kayozi=カンガルーネズミ | Muyingo | 男=Senkumba 女=Nankumba |
Mutima=心臓 | Mawuggwe=肺 | Kakeeto | 男=Sseremba 女=Namugera |
Ndiga=羊 | Mpologoma=ライオン | Lwomwa | 男=Mpungu 女=Ntabadde |
Ngabi=ブッシュバック(シカみたいな動物) | Jjerengesa=アカシア(植物) | Nsamba | 男=Ssegona 女=Nalubega |
Ngeye=コロブスモンキー(色が白黒で尾がふさふさの猿) | Kkunguvu=テンニンチョウ(尾の長い小鳥) | Kasujja | 男=Kalule 女=Nanfuka |
Ngo=ヒョウ | Kasimba=ジェネット | Muteesaasira | 男=Kkeeya 女=Nannono |
N’gonge=カワウソ | Kaneene=ヌママングース | Kisolo | 男=Lutaaya 女=Nakiwala |
Njaza=リードバック(オリビより大きめのウシ科の動物) | Ngujulu=アンテロープ(ヤギみたいな角を持った動物)の一種 | Kitanda | 男=Waguma 女=Nakyazze |
Njobe=アンテロープ | Bugala=パピルス(植物) | Ssenjobe | 男=? 女=? |
Njovu=ゾウ | Nvubu=カバ | Mukalo | 男=Ssemmambo 女=Nassanga |
Nkejje=スプラット(ニシンみたいな魚) | Kiyemba=ハプロクロミス(魚の一種) | Kikwata | 男=Namatiwa 女=Nalugo |
Nkerebwe=リス | Kikirikisi=ネズミの一種 | Kidimbo | 男=Ssendyona 女=Nandyona |
Nkima=猿 | Byenda=内蔵 | Mugema | 男=Wanzu 女=Nammembwa |
Nkula=サイ | Bunnassogolero=マッシュルームの一種 | Muwangi | 男=? 女=? 元は、タンザニアから来た偉大な狩人らしい。 |
Nnamung’oona=カラス | Mutima=心臓 | Kajjabuwongwa | 男=? 女=? |
Nnyonyi Nnyange=シラサギ | Kkunguvu=テンニンチョウ(尾の長い小鳥) | Kokoto-Mbaziira | 男=? 女=? |
Nseenene=バッタ | Nabangogoma=ナナフシ | Mugalula | 男=Mpagi 女=Nakalanzi |
Nsuma=エレファントノーズフィッシュ(鼻が長い魚) | Kasulubbana=エレファントノーズフィッシュ | Kibondwe | 男=Ggulu 女=Naggulu |
Nswasma=オオトカゲ | Goonya=ワニ | Mayengo | 男=Kisuule 女=Namayengo |
Ntalaganya=ダイカー(ウシ科の動物) | Marleere=マッシュルームの一種 | Bbambaga | 男=Bunya 女=Nakanyiga |
Nte=ウシ | Ng’aali=カンムリヅル(ウガンダの国旗の鳥) | Katongole | 男=Miwanda 女=Nabakooza |
Nvubu=カバ | Njovu=ゾウ | Kayita | 男=Kasimaggwa 女=Nambi |
Nvuma=シログワイ(レンコンに似た水生植物) | Katinvuma=トゲのある植物の一種 | Kyaddondo | 男=Mugambuwa 女=Nalunga |
こんな感じです!
動物の名前が多いですが、中には植物や臓器の名前まで!しかもどれもマニアックですよね。笑
そしてキノコがやたら多い!!!!!
「よく使われる名前」がわからない部分もありますが、そういうところはクランリーダーの名前をお借りすればいいのかなと思います!
僕たちも、「よく使われる名前」だけでなく、クランリーダーの名前をそのまま頂いた人も結構多かったです。
覚えたての名前で初めての自己紹介!緊張しました・・・
今回調べたのは、和訳できるクランのみでしたが、まだまだ他にもいろんなクランがあります。
「よく使われる名前」についても、実はもっともっとたくさんあります!
本当に興味を持った方は、以下のリンクから、クランの世界をどっぷり堪能してみてください。笑
All Buganda Clans and their Totems
ここで注意!
自分のクランを表す動物・植物・モノは神聖なので、傷つけたり、食べたりしてはいけません!! 自分のクランNseenene(バッタ)を持つ梅原
例えば、メンバーの伊藤のクランはNte(ウシ)だったので、彼は牛肉を食べられませんでした。笑
ウガンダで食に困らないようにしたければ、食べ物にならないモノをクランに選ぶのが賢明かもしれません!
STEP3 ウガンダ語の文に当てはめる!
さて、あなたの「クラン」、「2つ目のシンボル」、「ウガンダ語の名前」が決まったら、いよいよ自己紹介文を作っていきましょう!
文の構成は、次のようになっています。 次の順番で、言ってみてください!
1.Sanyuse okubalaba.(サニュセ オクバラバ「はじめまして。」)
2.Amannya gange nze 【ウガンダ語の名前】.(アマンニャ ガンゲ ンゼ 【 】「私の名前は【 】です。」)
3.Neddira 【クランの名前】.(ネッディラ 【 】「私のクランは【 】です。」)
4.Akabbiro【2つ目のシンボルの名前】.(アカッビロ 【 】「私のクランの2つ目のシンボルは【 】です。」)
【 】の中に、自分のクラン、2つ目のシンボル、選んだ名前をそれぞれ当てはめてみてください!
このたった4つの文を話すだけで、ウガンダの人たちは確実に大ウケします!!
同じMutima(心臓)クランを持つ方と。この家には、クランとクランリーダーの写真のついたポスターまでありました!
「わけのわからない国から来た人たちが、自分たちの国の言葉を話している」ことと、
「しかもウガンダ語の名前を持っていて、マニアックなクランやシンボルのことまで知っている」こと が、
彼らにとってたまらなく面白いようです! すっかり打ち解けあえました!
いかがでしたか?
掘れば掘るほど深い「クラン」についてでしたが、実は日本語の文献にはびっくりするほど記述がありませんでした。 これだけ調べても、詳しいことは書いてありませんでした。。。
つまりまだまだ日本では、広く知られていないことなんですね!
でも、クランの話をするだけで、ウガンダの人たちはハッピーになってくれます!!
あなたもまずは自己紹介で、ウガンダの人たちをあっと驚かせてみませんか!?
James George Frazer, Marriage and Worship in the Early Societies A Treatise on Totemism and Exogamy, New Delhi, 1986.
Kefa M. Otiso, Culture and Customs of Uganda, London, 2006.
Alan Hamilton, Luganda Dictionary and Grammar, Godalming, 2016.
Our Heart in Uganda(2018年2月26日閲覧)
The Clans of Buganda(2018年2月26日閲覧)
Buganda Kingdom (2018年2月26日閲覧)
Kkobe Clan (2018年2月26日閲覧)
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