2種目でオリンピックに出場したい!スキーは楽しい!
高橋佳汰
3種類のフリースタイルスキーヤーとして世界で活躍されている高橋佳汰選手にインタビューしました。自分に負けそうになったときや、もっと楽な道もあったときに何を意識しているかを教えていただきました。何度も世界と戦ってきた経験から生まれた哲学は「今やめても何も残らない。過去は振り返らず、粘り強くあきらめない」
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小学生時代
Q.なぜスキーを始めようと思ったのですか?
親の影響ですね。バブル時代だったというのもあると思います。
Q.いつ頃からスキーを始めましたか?
8歳からレジャースキーから始めました。
Q.ちょっと楽しいな~みたいな感じですか?
はい。10歳になってから近くにある「スノーヴァ溝の口」ってとこに行くと、そこでフリースタイルスキーのレッスンをやっていました。その横でちょっと滑っていました。次回また来て、その時にフリースタイルスキーのレッスンを受けて白川塾っていうチームのレッスンを受けて、それでちょっと本格的に始めようかなと。
Q.10歳ぐらいからフリースタイルを始めて、大会に出たのはいつごろですか?
大会が、12・・・。まあ、大会に出たのは最初10歳か11歳の頃に出て、それではまあ最下位でした。
Q.最下位ですか?
最下位ぐらいです。その次の年から、どんどん成績上がっていきました。14歳で国内3大会トップレベルの大会があってそこで優勝することもできました。
中学生時代
Q.14歳ぐらいで日本一を獲るということは、本気でやり始めて4年ぐらいで日本一を獲ったということですよね?
急成長したというか・・・。遅くから始めて、一気に急成長したって感じです。
Q.練習する頻度とかってどのくらいですか?
練習する頻度は、土日は絶対ですね。そのうえ、平日も2~3回やります。
Q.1回何時間ぐらいするのですか?
1回で、5~6時間ぐらいですね。
Q.ひたすらもうグルグルグルグル~とかってやっているのですか?
やっていました。当時楽しくて仕方がなかったです。特にオリンピックのこととかも考えてなくて。もう種目を決めないで、ハーフパイプ・ビッグエア・スロープスタイル全部適当にやっていました。
Q.すごすぎる世界な気がします。(笑)中学校の時とか、普通の高校に行くのか通信に行くのかって悩みましたか?
普通の高校も考えましたね・・・結構悩んだ結果、通信に決めました。
Q.今思うとどうですか?
今思えば普通の高校でもよかったのではないかなって思いますね。
Q.それはなぜですか?
んー、まあ結局通信でも学校に通っていたからですかね。
高校生
Q.16歳での、韓国選手権での結果はどうでしたか?
韓国・・・。コリアンナショナルチャンピオンシップっていうので、ビッグエアとスロープスタイルで優勝しました。それから、ハーフパイプは2位でした。
Q.なるほど。そのあと、17歳で、日本で3種目で表彰台をとって、17歳以下日本代表ですか?
はい。世界ジュニア選手権ですね。
Q.そのときの、スロープスタイルが29位?
29位でした。
Q.これも3つ出場したのですか?
これは、スロープスタイルだけです。
Q.通信の高校を卒業されたんですよね?
はい。一応高卒になっています。
Q.ということは大学も行こうと思えば行けたってことですよね?
はい、いけました。友達はもう、大学生なので。通信の高校でも行けます。
Q.それはどういう基準で行かなかったのですか?
えっと・・・・なんか・・・・なんだろうな。忙しいからですかね。先輩で早稲田のスポーツ科学ってとこに行った人がいて、そこに行けばいいじゃんって言われていましたが、実際に通っている友達から、とても忙しいと聞いて、練習どころじゃなくなると感じたのでやめました。
Q.どんな感じの高校生だったのですか?
えっと、まあ静かな高校生でした。なんかあんま目立とうとしなかったです。
Q.でも目立つことは好きですよね?本質的に。
はい、スキーでは。(笑)
Q.生活はどのような感じでしたか?
バイトして、全日制みたいな感じで、一応通いながら、ある程度出席に日数をとったら、いつでも休んでいいよ、みたいな感じだったので、学校行って練習行ったり、学校休んでバイト行って練習行ったりといった感じですね。
現在
Q.今の主戦場はワールドカップですか?
今は、ハーフパイプだけに力を入れています。
もう一つのビッグエアっていうのが、ポイントを持っていないと出場できない競技で、ポイントが不足しています。
それなので、ハーフパイプに絞っています。
Q.ハーフパイプはポイント制じゃないのですか?
ポイント制です。ですが、この前ニュージーランドの大会で、出場したら、決勝に進出して7位ぐらいに入れたので、始めてからそんなに時間は経ってないのですが、そのぐらいのレベルまで行けたということは行けるかなと。
Q.ハーフパイプは始めたばっかりなのですか?
一応先シーズンからちゃんと始めました。大会は2回目です。
Q.これからはハーフパイプを重視していく予定ですか?
そうですね。正直ビッグエアは今は忙しい感じです。ハーフパイプだけで精いっぱいかなというのがあります。
Q.ビッグエアに絞らずにハーフパイプに絞ろうと思った理由は、ハーフパイプの方が本格的にやった年数が短いわりにパフォーマンスが良かったからってことですよね?
はい。自分にあっているのではないかなって。
Q.では、今まででベストな海外成績ってどれくらいなのですか?
海外は・・・その7位ですね。その最近のハーフパイプの大会です。
Q.それってどれくらいのレベル感なのですか?
えっと・・・・。本当のトップレベルの大会と、最低層の大会だとしたら、真ん中よりちょい上くらいです。
Q.世界選手権とか世界レベルの大会に出るにはポイントを満たさないと大会に出場できないということですよね?
そうですね。そういう自分が出たニュージ―のフィス大会っていうのに出て、ポイントを稼がなきゃワールドカップに出場できません。
Q.今ワールドカップに出場できるポイントは溜まっているのですか?
基準が変わってしまって、今頑張って取りに行っています。
Q.バイトは今何をやられているのですか?ガス管ですか?
ガス管は今はやってないです、スミスって分かりますか?スミスっていうゴーグルとヘルメットとサングラスのメーカーで今働いています。
Q.週どれくらいバイトしていますか?
とにかく今は週5で入って、休みたい時に、この日は休みますって言うような感じです。
Q.そして夜にトレーニングですか?
夜トレーニングですね。9時から6時までバイトして。そこから、車でスノーヴァまで行ってトレーニングというような感じです。
これからのこと
Q.将来は、2018年に平昌出て、北京出て、26ぐらいまでやって、その次フリースタイルの指導者とか、っていうのがビジョンですか?
はい、ビジョンです。なんか今も、指導者みたいなことは、たまにしています。それもその経験も踏んで大人になったらやっていきたいなって思っています。普及活動みたいなこともしたいなって思っています。
Q.それはなぜですか?
強いてあげれば、基礎スキーとかで止まってしまっている人とか、スキーはガチガチなイメージがありますが、それを崩したくて、ですかね。
Q.たしかに。スキーってガチなイメージありますね。
スノーボーダーはカッコイイ感じで、スキーはまじめで、みたいなイメージがあるじゃないですか。
Q.この人はきっとスキーやるだろうな、みたいな。まじめな人っていう感じですか?
そのイメージを崩したいっていうのがとてもあります。
みんなになぜフリースキーやったのですか?と聞くと、だいたい「モテたいから」っていう人が多いですやっぱり。(笑)
Q.モテるほど観客来てくれるのですか?
観客とかも、そのスキー場にいる人達がイエーってなるので。
Q.たとえばなんですけど、一般的な高校生活とか大学生活をそこまで味わえないほど、スキーにのめりこんでやってらっしゃるじゃないですか?
はい。
Q.なんでそんなにやれるんだと思いますか?
スキーをするために・・・スキーで楽しい思いをするためにやっていますね。アルバイトとかも。
Q.どの瞬間が楽しいのですか?
滑って飛んでいる瞬間が楽しいです。
Q.その楽しさを追いかけているって感じですか?
はい。あと親が応援してくれたので、ちょっと変なところであきらめるのはよくないなって。いけるところまでいって、最後までやってからやめようかなと思っています
Q.最後ってどの辺ですか?
もう、飛んで身体がガタガタしてきたらくらいですかね。
Q.プロとまでは行かなくても、割とガチで練習をするっていうのが薄れている人も多いなって感じでいます。小さい子とかでも運動をがっつりやっている割にプロを目指さない子とかが多いなって思っていますが、どう思いますか?
そうですね。フリースキーでもそれが多いです。プロ選手にならずに日本だけでうまくなればいいやっていう。
Q.そういうことに関して、そういう人達を見てどう思いますか?
ちょっともったいないと思います。ちゃんとしっかりやれば、うまくなるのにな~って思います。
Q.なんでそうなんですかね?
うーん・・・。日本の一般層の人たちの考えで、日本でそういう種目とかってレベルが高くなるとあまり楽しさがなくなってしまうからだと思います。それに比べて、フリースタイルスキーは楽しくやる競技なので、競技って感じじゃないです。
Q.「上を目指しすぎると、ガチになりすぎる」ってことですか?
ガチになりすぎると思います。たぶんみんなは、高いレベルを目指さない人は、仲間内で、日本で普通に楽しくうまくなればいいやっていうのが多い気がします。そっちの方が楽しいし、周りとつながる事もできますしね。
Q.そういうのを見ていて、もうちょっとやればいいのになって思うこともあると。
あります。自分よりも、いろんなところで才能持っている子がいるので、そういう子とかは、もっとやったらいいのになって思いますね。
Q.そう思ったことはないですか?大変な道じゃなくて、仲間内でまあまあ楽しい道を行こうかな、みたいな。
思いましたが、、今はモテたいとかそういう気持ちはなくて、とにかく有名になりたいなってことしか思ってないですね。海外も含めて日本でも有名になれればなって思っています。
Q.頑張れるのはスキーが好きだからなんですね〜笑
とにかくスキーが好きでやっていて、それと応援してくれる人も少ないですけど、いると思うので、それの期待を裏切らないように続けているっていうのもあります。
Q.単純に努力が足りないなって思うのと、単純にこれは無理かなっていう見極めってどの辺に出てくると思われますか?
日本で毎回表彰台にのれないとか、なんか自分がやりたい技とかが、うまくできないというのがあると挫折したくなります。
Q.うまく出来ないってどれくらいのスパンで言っていますか?半年とかですか?
もっと2~3年とかですね。
Q.じゃあもうそれくらいは頑張ったらいけるのではないかっていう感じでしょうか?
はい。今活躍している先輩とかでも25~7歳で活躍している女の人がいます。その人でも22歳…21歳?20前半ぐらいからスキーを始めて、今は本当に平昌オリンピックに絶対出場できるっていう位置にいます。大学生とかもっと今から頑張ってもオリンピックいけるぞってみたいに思います。
Q.およそ平昌はいくだろうって感じですか?
ぶっちゃけた話ちょっと忙しいかなって思っています。SIJの体制がちょっと厳しくなりすぎて。
Q.そしたら平昌を目指しつつ、メインは次の北京ですか?
はい。気持ちは結構そこですね。平昌を目指す気持ちで北京を目指します。
Q.1番大きな目標は2つの種目でオリンピックですか?
1番大きな目標は、まずはハーフパイプでオリンピックですね。そのうえ、ワールドカップで上位残してエックスゲーム。デューツアーっていう大会で成績を残すってことですかね。
伝えたいこと
Q.やりたいことって見つかっていた方がいいと思いますか?もし、見つかっていた方がいいとしたら、どうやったら見つかると思いますか?
やりたいことは絶対あった方がよくて、やりたいことを見つけるためには、大学生だったらサークルですよね。サークルとかに頻繁に参加して、いろんなサークルに参加して、自分にあったものを探すのがいいのかなと思います。
中高生は、何も考えてないですからね。(笑)中高生はとにかく家にいないで外に行って友達といろんなことをして遊ぶ。
Q.スキーをしていくうえでこういうのだけは大事にしている、気を付けていることはありますか?考え方とか、生き方とか。
昔を振り返って、普通の高校生したかったー、とかあまり過去を振り返らずに、先のことを考えるように今はしています。
Q.これから将来どうなりたい、ということを意識するってことですか?
はい。将来どういう風に大会出て、ここで何位とって、こうしよう、みたいなことは意識しています。
Q.どういうスキーヤーが理想のスキーヤーですか?
みんなに、「ああいうスキーヤ-になりたい」って思わせるようなスキーヤーになりたいです。
Q.できればどういうスキーヤーって影で言われたいですか?どういうイメージでしょうか?
「フリースタイルスキーならではのかっこよさがあるスキーヤー」ですかね。
Q.自分に負けそうになる時に言い聞かせることとか、自分に負けないためのなにかってありますか?
自分に言い聞かせることは、今こうやって練習していることにもお金がかかっているから、その分もしっかり頑張んなきゃいけないなと思って練習しています。
Q.普通の人は練習が嫌になったりするじゃないですか。でも高橋選手は練習も楽しいって言っていましたが、練習が嫌になることとかはないのですか?
ありますよ。何回もやりたい技をやってもうまく行かないときは嫌になります。それと、練習もそうですが、そのスキー業界の人間関係とかでも嫌になります。
Q.やっている技に対してどれくらいの期間で嫌になるのですか?
何年もその技やって、自分の癖を何年やっても直せないときとかですね。
Q.それも何年っていうスパンですよね、1日2日じゃないですよね。
1日2日じゃないですね。もう何年間も技を練習しているのに、自分の癖が抜けないです。まあ今実際そういう技があって、3年くらいやっているのですが、自分の身体がこう入ってしまう癖があって、それを本当はこういう風にしなきゃいけないというのはあるのですがなかなか直らないです。
Q.その何年も粘れるメンタルは、応援してくれる人がいたからとか?
そうですね。今やめても何も残らない。日本でちょっとコーチできて生活できるみたいなので終わっちゃう。で、しっかりやれるまで応援してくれたので、うちの母とか。やれるところまでやりたいなっていうのはあります。
Q.高橋君の競技をする中で、生きていく中で1番大事なことは何ですか?
あきらめない心。気持ちです。