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湘南のヨガインストラクター:自分が思うようにやってる

自分が思うようにやってる

鈴木尚子

二児のママでありながらも、産後のママ向けのヨガインストラクターとして働く鈴木なお子さんにインタビューをしました。人が自分の特性をどのように活かすべきなのかを教えていただきました。柔軟な人生の体験から生まれた哲学は「人生で起こる全ての事を素直に受け入れ消化するべき。」ブログはこちら

高校時代

Q.高校生の時はどのような高校生でしたか?

学校が私立の陸上の強豪校で、それが目的でその高校に行ったので、ほぼ部活しかやっていませんでしたね。お勉強はやらなくていいと思っていたので、部活以外の経験がほぼなく、必然と身体を動かすということ以外への興味が湧かない…というか、それ以外全く考えていない高校生活を送っていました。

Q.陸上をやめようと思ったことはないのですか?

何度もありましたが、私立高校に通わせてくれた親のことを考えたら、絶対に辞められないって思っていました。陸上をやるために、わざわざその高校に行ったのに、辞めたら「じゃあなんで入ったんだ」ってなっちゃう。そういう想いが自分の中にもあったから、口が裂けても言えなかったです。競技は走高跳びをやっていました。

Q.陸上以外で、学校で悩むことや嫌だったことはありますか?

ありました。中学の時は、4クラスしかなくて男女みんな仲良く、みんなが友達でした。でも高校は20クラスぐらいある大きなところで、中学とのギャップがあって、なかなか馴染めなくて楽しくなかったです。部活は、練習がすごくきつくて嫌だったけど、部活の仲間と一緒にいるのはすごく楽しかったです。

Q.高校の時にこんな風なところに行きたいっていう進路はなかったのですか?

なかったですね。本当に部活しかやってなかったので、興味の幅が広がらなかったです。今思えば…。だから、身体を動かすこと=スポーツのインストラクター以外はありませんでした。

Q.スポーツインストラクター専門の学校もいくつかあると思うのですが、それはどうやって選んだのですか?

仲良しの友達がそこに行くって言ったからそこに決めました。今思うと、どれだけ自分の意思がないんだよって話しですよね(笑)お恥ずかしい。

Q.誰にも相談せずに決めたのですか?

相談はしなかったですね。自分が何をしたらいいのか分からなかったから、何を相談すればいいのかも分からなかった、という一言に尽きますが、それがうまく言葉に出せなかったです。とにかく、何も考えていなかったから、何のアクションも起こさなかったのだと思います。今思うと、ちょっともったいないですね…。

Q.専門学校の後の進路については考えなかったのですか?

そのあとのことは考えてなかったですね。バイトもしてなかったし、社会のことを何も知らなかったです。高校生の時は、とにかく「良い記録を出す」「インターハイに行きたい」それしか考えていなかったです。友達と遊んだり、恋愛したりもあったけど、生活の大半が部活だったから、それ以外のことは考える環境になかったです。

卒業後

Q.高校時代は、ひたすら陸上に打ち込む、超体育会系な時間を過ごされたそうですが、仕事先はどんな感じでしたか?

フィットネスクラブで働きました。入社してみたら、スイミング部に幼児体育があったのですが、幼児体育の責任者が病気をしていて機能していなかったので、専門学校であまり学ばなかった水泳を、子どもから大人の方に教えることになりました。

Q.それは大変ですね・・・。

専門学生時代、水泳の成績は非常に悪く、指導練習経験もなく。そんな中での社会人一年目…。働くことの意味を見つけることも出来ないし、希望職種でもなかったし…結局体調不良を理由に入社した年の秋には退職してしまいました。

Q.働く前は、働くことに対してどんなイメージがあったのですか?

「生活が変わるだけだ」って思っていました。大変なことや不安なことは、全然なかったです。バカの鈍感力ですね(笑)だから、入ってすぐビックリしました。「GWに働くの?!」って。バイトも、今までそんなにしてこなかったし、土日や休日に働くということにものすごく抵抗がありました。

Q.辞めた時は、転職活動もしなかったのですか?

しませんでしたね。

Q.誰かに相談はしたのですか?

旦那さんや親には、相談しましたよ。周囲は「ずっとそこで働かなくても、もっと働きやすいところでもいいんじゃない!?」って感じでした。

Q.辞めてどうされたんですか?

辞めた後、1か月しないぐらいで、次のところを自分で見つけてきました。家から2分くらいの近所の幼稚園を見つけて、「ここなら学生の時とそんなに変わらない生活を送れる!」と当時思って、幼稚園専属の体育と水泳の先生になりました。

Q.そこは先生を募集をしていたのですか?

どうだったのでしょうね(笑)そのときには、電話もせずにいきなり訪れて「ここで働きたいです」って言いました。私がそこの卒園生だったからかはわかりませんが、「アルバイトから始めてみましょうか」と話が決まりました。その後、半年間アルバイトとして働いて、次の4月から社員として契約することになりました。

Q.そこはどのような環境でしたか?

午前中は、在園児相手に体操、水泳の指導。午後からは水泳教室に変わり、会員の子ども相手に指導するお仕事でした。結局また水泳を指導したのですが、半年間だけ大手フィットネスクラブのスイミングで働いていたのが自信になり、小さな幼稚園の水泳教室では自信を持って指導をしていました。

Q.順風満帆でしたか?

働いている当時は嫌なこともあったけど、子どもたちは本当にかわいくて大好きだったし、働いている他の先生たちも、半数以上が同年代だったので楽しく働けていました。ただ、古い幼稚園で、昔からの体質や考え方が変わらず、大手フィットネスクラブ勤務を少しかじった私は向上心のない保守的な仕事のやり方に納得がいかず、嫌気がさして辞めました。

Q.その後はどうされたのですか?

幼稚園で働いているときから、ヨガを週1くらいでやっていたのですが、幼稚園を辞めた後からは、3か月くらいマンスリーチケットを買って、毎日ヨガスタジオに行っていました。それから3ヶ月後にその通っていたスタジオのヨガインストラクターになる試験があると聞いたので、受けてみようかな?と思ったのです。

Q.テストみたいなものがあるのですね?

俗にいう入社試験みたいなものに無事合格し、通っていたヨガスタジオで働きはじめました。実は同時にもう一社のヨガスタジオにも合格し、どっちに行くかでこの先の自分の人生が変わると思い、すごく悩みました。それぞれのスタジオの特徴をリストアップし、嫌な所と良い所の表を作り、「良い」方が多い方を選びました。

Q.そこではどのようなお仕事だったのですか?

スタジオの管理、掃除、受付、お金の扱い、会員管理、受付、予約電話対応そしてレッスン…全部やりますね。20人は入るスタジオで1レッスン1時間から1時間半、1日に5レッスンありました。インストラクターは10人ぐらい在籍していて5人で1日をまわしていました。そこでは結局、上の子の臨月までずっと、だいたい4年間くらい働いていました。

Q.妊娠出産を機に辞めたのですか?

もともと子ども産んだらそこでは働けないと思っていたから、臨月で辞めることは決めてはいました。1日9時間、下手したら12時間勤務のなかで、子ども産んでまた働くのは無理だと思っていたので、戻るつもりはなかったです。

Q.出産後は、どのようなことを考えていたのですか?

子ども産んでからの1年間、「何かやりたいけど、何やろうかな?」って悶々としていました。フリーのインストラクターは集客、管理…全部自分でやるので、「なりたいな」とは思っていたけど、実際フリーの人って雲の上みたいな存在で、「あの人の働き方ってすごいなー」って憧れの目で見ていたから、自分にはそうなる自信がなかったです。

Q.それで、どうされたのですか?

自分らしく人生を歩きたいって思っていたので、自信がなくても「フリーでやっていく」しか選択肢がなかったのです。ちょうどその時期にカフェで働いてみたりもしましたが、「自分らしくない」って違和感を感じていました。これは自分じゃない・・・と思うから、最終的にフリーでやるしか選択がなかったです。

Q.どうしてそこから産後ヨガになったのですか?

ヨガ教室もいろいろなターゲット層があって、自分が子育て期だったので、子育て層をターゲットにしようと思いました。

Q.そこから、やる場所を探したのですか?

スタジオ探しを目的に自転車で走っていたら、道沿いにたまたまオープンしたてのレンタルスタジオを見つけて、自信はなかったけど「今は少し自信がないけど、他のイントラさんがこのスペースを知る前に私がここでレッスンしよう!」と思って、すぐにレンタル予約をして産後ヨガを始めたら、受講者が集まってくれました。

Q.集客はどうやってやったのですか?

集客はブログです。でも、もともと会社に勤めていたので、会社からお給料をもらう感覚が強く、自分の商品(ヨガレッスン)を自分で売るという経験がなかったから、自分からアピールしお金をもらうということに慣れていなくて、なかなかうまく宣伝ができなかったです。

Q.最初は難しいですよね。

お金をもらうことが申し訳ないような気がしちゃって。だから、SNSでの集客にはそこまで力を入れず、ただただレッスン内容について、ヨガについて勉強して、来てくれた生徒さんに良いものを提供できるように…というところに力を入れていました。「来てくれた人が喜んでくれれば、いつかもっと広がる!」という思いで勉強する…それが私の集客の仕方でした。

Q.その後、やる場所も増えていっているのですか?

はい、増えています。遠い未来では、もっと増やしていきたいと思っています。

伝えたいこと

Q.今思えば、高校のとき、専門学校の時にもっとこうしておけば良かったな、と思うことはありますか?

うーん…ないですね。中高と6年間での陸上についても、「1つのことをやりきれた」って、社会に出てからも声を大にして言えることなのだなって思います。今となっては「あの時はこういうことをやっていました」と言えることは良いことだと思うから、強いて言えば、逆にもっと頑張れば良かったなって思うぐらいですね。

Q.高校専門時代と今の生活はどっちが幸せですか?

それは今ですね。自分が何者なのか、わかったからだと思います。「自分はどういうことが楽しくて、どういうことが嫌なのか」というのが、分かったからかな。

Q.楽しいと思う理由って何でしょうか?

社会に必要とされているっていう、生きがいがあるからじゃないかな。「働く」という意味は、いろいろあるけれど、そこで、自分が社会にいる意味合いがあると感じました。「お金をもらえる」ということはちょっと置いといて、誰かに必要とされている、誰かの為になっているっていうところは自分の原動力になります。

Q.火が付くタイミングってあったのですか?

たぶん、アルバイトを含め、いろんな職種をやってみて、自分にとって一番居心地が良いものがだんだんと肌で感じられるようになってきてからだと思います。良いこと、悪いこと、楽しいこと、嫌だったこと、そのいろんな経験があったからこそ、「これだ!」って気付けたときにしっかり火がついたのだと思う。

Q.お仕事をする上で大切にしていることや心がけていることはありますか?

個人事業主だから頑張った分だけお金が入ってくるのですが、頑張り方を間違えたくないなって常々思っています。とにかく、数あるヨガ教室の中から私のヨガ教室を選んで来てくれた生徒さんを大切にし、丁寧にレッスンを届けています。その為に一生勉強し、その結果それが集客につながる。綺麗事に思われるかもしれないけど、本当にそんな思いでお仕事をしています。

Q.自分がこういう風になるなって想像できましたか?

できてなかったですね。

Q.これからのビジョンってありますか?

ありますね。とりあえず、40歳で区切ろうって思っています。なんとなく40歳で。

上の子も中学生になるし、私自身の時間の使い方も変わってくるだろうし。

Q.大学や専門学校は、行った方がいいと思いますか?

何か目的を持って通った方が、払うお金の意味もあるし、かける時間の意味もあるから、「とにかく何か目的を見つけて通った方が良い」とは思います。けれど、当時の自分は、そういったことは言えなかったし、できなかったから、「とりあえず自分が思うようにやってみたら?」って思いますね。

Q.子どもが自分で選択を決める事についてはどう思いますか?

見守ってあげようって思います。自分の子どもに対しても、知り合いの子どもに対しても、その子のことをわかっているのであれば、その先に何かあるかもしれないっていう心持ちで、その子を信じて、見守ってあげたいと思いますね。

Q.何故、学校の勉強はあるのだと思いますか?

自分らしさを知る為だと思います。自分は何が好きで、何をやりたいのかというのを知る為に5教科があって、それ以外の教科があって…というようになっているのだと思います。「自分を知る為」と思うと、できないものがあっても、「これ私は苦手だけど、こっちは得意だ」と気づいて頑張れるようになるので、勉強する意味も、学校に行く意味もあると思います。

Q.将来、子どもが勉強しなくなったらなんて言いますか?

諭しますね。「別にできなくてもいいんだよ。好きなことがわかればいいんじゃない?」って。「この中で楽しいことある?」って聞いて、もし「分からない」って答えたら、親として、旅行に連れて行ってあげたり、なにか勉強以外で、いろいろ教えてあげて興味があることだったり、その先で何か広がることを提供してあげたいと思います。

Q.好きなこととかやりたいことってどうやって見つけたり、見つかったりするものなのしょうか?

子どもの選択の幅って言うほどなくて、みんな同じように決められた平等な時間を与えられた中で、見つけて行くわけじゃないですか。友達と繋がって、その友達が何かに興味があったら「自分もやってみたいな」ってなっていく…。そういうことからしか、子どもって見つけられないのかなって思うので、その子にどれだけの経験が、親として与えられたかが大切だと思います。

Q.親がそこまでいろいろなことをやらせてくれない環境の場合はどうしたらいいと思いますか?

んー。興味のある本を読んだり、実際にお仕事している学校のOB、OGから話を聞いたりしてイメージを膨らませるとか?!全く将来を気にすることなく、「今」を見て生きている子どもに未来を考えさせることって、すごく難しいと思います。

Q.どのような人に話を聞くのが良いと思いますか?

学生時代、同じような経験をした人からアドバイスをもらうのが一番手っ取り早いかな?!その際に、人の考え方はいろいろあるってことが大切だから、同じ経験をした「いろんな人から」アドバイスをもらうのが大切かな。同じ経験でも感じ方って人それぞれだし、満足や納得することも本当に人それぞれですもんね。

Q.親は子どもに対してどのように向き合うべきだと思いますか?

自分の子供に対しても、知り合いの子供に対しても、その子のことをわかっているのであれば、その先に何かあるかもしれないっていう心持ちで、その子を信じて、見守ってあげたいと思いますね。

Q.高校生や大学生に伝えたいことはありますか?

私のように、「学生時代、部活動に励みすぎてしまった人」たちへ送ろうかな。意外とそういうも子多いのではないでしょうか。部活に打ち込むことはとっても素晴らしいことだし、きっと親御さんも頑張る我が子の姿を見て喜んでいるのではないかなって思います。

Q.部活一筋で進路が決まっていなかったらどうするべきだと思いますか?

そこに集中しすぎちゃって進路が決まってなかったとしたら、他に興味のあることが分からなかったとしたら、とりあえず自分が今まで生きてきた道について考えてみて、今何が得意なのか、今何が好きなのか考えてほしいです。

Q.どのように考えたら良いと思いますか?

部活動の中だけでも社会に通ずるところはあると思います。「コツコツ」筋トレすることや、フォームが良くなるために「分析」するのが好きとか、とにかく「根性」だけでやってきたとか、そういった特性を活かせるお仕事がきっと見つかるはず!

Q.それでも見つからなかったらどうしたら良いですか?

もしそれでも見つからなかったら、今までの生活と真逆なことをすることもいいですね。1つの目標に対して長く頑張ってきたその経験と力は、社会に出てからも必ず通用すると思います。今までの自分が歩んできた道に誇りを持ち、素敵な未来に胸を膨らませてみてください!

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