公務員とは!?出向して見えたこと!
藤井 智生
公務員でありながら、現在民間企業で働いている藤井さんにインタビューしました。公務員と、民間企業との働き方の違いや、能動的に動いてくことが何故大切なのかを教えていただきました。広い世界から自分を見つめ直した中で生まれてきた哲学は「チャャンスがあったら飛びついたほうが良い。」
高校時代
Q.高校生の頃は、どんな高校生でしたか?
アクティブな感じでしたね。生徒会もやって、音楽もやってバトミントンもやって。ひたすら自分なりに何かに打ち込んでいました。
Q.すごく悩んだこととかってありましたか?
いろんなものが中途半端になった時代ではあったと思います。やりたいことは全部やっているつもりだけれど、納得感はあまりなくて。自分は幅広くは取り組めないのかなと思いました。
Q.進路についてどんなことを考えていましたか?
新潟が地元なのですが、新潟を出たいと思っていました。あとは、実家から比較的近い県で、語学と経済を学べるところはどこかを基準に選びました。
Q.進路選択をするとき、何か迷ったり不安になったりしたことはありましたか?
挙げるとしたら、島を出ることですかね。高校は佐渡島の高校だったのですが、島なので、大学となると島の外に出ることになります。それ以外では、国立の大学で、更に学びたかった国際経済学部がある大学を探探しました。こう考えると、そもそも選択肢も多くなかったので、そこまで悩むこともなかったです。
Q.国公立を目指すのに、勉強を始めたのはいつぐらいでしたか?
一応コンスタントには頑張っていて、スパートをかけたのが8月だった感じです。
大学時代
Q.希望する大学を落ちてしまったのですよね。そのショックからはどう立ち直ったんですか?
長くかかって、2年生ぐらいから徐々に立ち直り始めました。周りの人はもっとサークルを素直に楽しんでいたのをみてですね。バドミントンとか、軽音とかをまたサークルで頑張れるようになって。そこから高校生の時のように、だんだん楽しくなってきましたね。
Q.大学時代はどのように過ごしましたか?
最初は留学に向けての勉強で精一杯でした。中盤からはサークルと飲み会、終盤は公務員の勉強って感じでしたでしょうか。
Q.留学に向けて勉強していたのですね?
最初は留学に向けてですね。自分を慰めるような話に聞こえるかもしれませんが、希望する大学に落ちてよかったな、と思っています。 行きたい大学に受かっていたら、最初から意識高く英語を頑張らなかったかもしれないです。大学が始まってすぐに学生課に行って「留学したいです」って、相談に行きました。
Q.意識の高い人が多い大学だったんですか?
意識の高い人達が多いとは言えなかったけど、やはり集まるところには集まっていました。例えばTOEFLクラブという、留学を目指して英語を勉強するサークルでは、みんながお互いを高め合って頑張っていました。
Q.大学ではどのような勉強をされましたか?
経済とか経営を学んでいました。周りは銀行とかに興味があって、経済とかを学んでいましたが、自分はそっちじゃないなと途中から思っていました。むしろ発展途上国とかを支援するような経済学に興味を持って勉強しました。発展途上国で、水道事業をどのように経営するかなどを学びました。
Q.大学に入って高校との違いはありましたか?
高校時代は、がむしゃらに無邪気に楽しんでいた感じがします。大学では留学をするために、勉強をメインで頑張っていた気がして。高校時代はもっと笑顔で何かに取り組めていた気がします。大学は落ちてからのスタートだったこともあるのかな。どっちも充実してはいましたが、何かが違ったかもしれません。
Q.大学生のころ、進路についてどんなことを考えていましたか?
自分のやりたいことが最後まではっきり決まらなかったです。最初は民間企業で英語を使おうかなと思ったりしていましたし。途中から、段々と公務員という仕事の中で漠然と英語が使える仕事がやれたら良いかなと思うようになりました。潰しがきくものが良いかなと、最後まで考えていました。
Q.実際には、どうやって卒業後の進路を決めましたか?
大学3年の6月、7月くらいに留学するかどうかで迷って。結局、「留学してもな〜…」と思って、辞めてしまいました。そこから公務員の試験対策講座を受け始めて、公務員になるための勉強を始めました。
Q.就活はどうでしたか?夢と安定とかについて考えましたか?
大学に入って最終的には安定志向になりましたね。両親が民間だったので、民間の大変さはその目で見てきました。
就職
Q.お仕事を始めたときどのように感じましたか?
最初は福島の山奥の南会津という地域が初任地でした。3年間農林事務所の総務係を担当しましたね。総務係なので、経理とか備品の管理とかをする仕事で面白いものではなかったです。
Q.英語を使う機会は少なかったのではないですか?
そうですね。やりたかったような国際的なことでもないし、自分の思い描いていた仕事ではなかったですね。目標を持つことが難しかった時期ではあります。でも、周りの人に恵まれ、社会人として働く心得ですとか、そういった大事なものを身につけられる重要な3年間でした。
Q.仕事をする前のイメージと、実際に公務員になってみて違ったことはありましたか?
ある程度世間の常識通りではあったかもしれません(笑)でも、中には本当に働きっぱなしの人なんかもいたりしました。公務員を一括りにするのはやはりできないと思いました。
Q.今のアクティブな藤井さんになる転機みたいなものってあったんですか!
転換期は、異動の時でした。たまたまあった教員の4割が外国の方という会津大学に異動させてもらえることになって。そこで、ようやく英語を使う企画系の仕事に携わることができるようになりました。外国の方たちと国際戦略を練れたりして、そこでモチベーションが一気に上がりました。
Q.公務員になってどれくらいの時ですか?
4年目ですね。そこから楽しくなってきました。
Q.会津大学では海外に行ったりすることもあったのですか?
アメリカで開かれる教育者の大会に、日本から福島大学と会津大学が呼ばれることがありました。自分はたまたま福島大学出身で、会津大学で働いていることもあり、連れて行ってもらえました。
Q.すごいご縁ですね。
そこで、パーティーとかに参加しながら海外の大学職員と積極的にコミュニケーションを取り、非常に有益な時間を過ごすことが出来ました。そして、「海外でも何か出来るかもしれない!」とう自信が芽生えてきました。
Q.そのあと海外に出たくなったりしたのですか?
そうなんです!(笑) それをきっかけに、世界をもっと見ようと思いました。今まで出来ないかもしれないなと思っていたことをやろうと思う機会になりました。そして、5か国を周りました。仕事ではなく、プライベートなのですが、アブダビとかスウェーデンとかギリシャとか。いろんな可能性に挑戦する自信がついてきたという感じです。
Q.自信ですか?
ようやく26、27歳で、ですが出てきました。学生時代は悩みばっかりでしたし。色々と取り組んできたつもりだったけど、自信は持てなくて。アメリカでの体験が大きかったですかね。そこに辿り着くには自分をアピールすることが必要だと学びました。アメリカに行きたいって、手を挙げて、行きたい気持ちをいろんな人に伝えておりましたので。
Q.福島県の職員でずっといようという感じですか?
正直いろんな葛藤はあります(笑)でも、原発の問題とかもあり、意識も変わってきました。
Q.原発の問題はいつごろの話ですか?
原発の問題は1年目の最後の最後です。自分がいたところは、原発から一番遠い所でしたけれど、おにぎりを運んだり、夜勤で寝ないで待機したりしていました。避難所にもよく行ったりしていました。
Q.福島県の職員総出で支援したのですね?
自分の持ち場の総務で働いていると福島県のために何かしているとは思えなかったけれど、この原発の問題と向き合って初めて福島のために働いていると思えました。県職員だからこそ被災地で出来ることが沢山あると感じました。この原発を機に会津大学で様々なイベントが行われるようになり、自分は何かを見つけることもできました。
現在
Q.2015年からは民間派遣ですが、きっかけとかはあったのですか?
これを希望した理由というのも、会津大学でやっていて自信がついてきて、東京でも働いてみたいなと思いました。大学時代に民間企業でも働いてみたいと思っていた時期があったことを思い出したこと、そして会津大学で働く民間からの転職者が輝いていたことです。
Q.なるほど。
今からでも出来るよなと。自分のやりたいことにトライしたいと思いました。実はちょうど彼女にふられて独り身だったのもありまして、何でもできるぞ!と思って応募しました。昔やっていたことが思い起こされてきました。夢が実現するように。
Q.公務員と民間ってすごく違うじゃないですか。あえて、民間に行きたいって思った理由はありますか?
会津大学にいたときに、民間企業を退社されて入ってきた方と働く機会がありました。その人が公務員って何でこんなメンドクサイことをするのって話を沢山してくれて。
Q.それは例えばどんなことですか?
民間だとメールでやりとりをして、上司と話してバッと色々なことを決めるのに、公務員は稟議制(りんぎせい)といって 決済を色々な上司や職員に回して取ります。恐ろしく時間がかかります。で、その時民間企業ってどうなのかなと思って。民間派遣で行きたいと思い立って、捨て身のような感じで行動しました。自信がついてなかったらしなかったと思います。
Q.民間企業で働いてみて、どんなことを感じていますか?
個人個人にもっと裁量があって、いろいろなことにチャレンジをさせてくれるなと感じています。公務員なら3日かかるものが、民間なら30分だったりするイメージです。ミスを一つも出してはいけない公務員と民間企業の世界はもちろん違うとは思いますが、そのくらいのスピード感を公務員におろしていければもっと効率的なことも出来るのではないかと思ったりしています。
Q.正直な話、どっちのほうが しっくりきていますか?
民間がしっくりきています(笑)公務員も良いことはもちろんありますが、色々なことがセクションで別れていて、人の仕事は人の仕事みたいな。 しかし、民間の方はチームでやっているような感じがして、仕事を補い合うことを当たり前って思える雰囲気がとても良いですね。
Q.公務員に戻りたいとかって思いますか?
こんな経験させてもらえているので、福島に恩返しをしたいと思っています。旅行会社を経験して何ができるかなと考えています。今のインバウンド戦略(海外からの旅行者)では、東北にはあまり旅行者が来ていない現状です。もちろん福島の原発の影響もあるかと思います。そこをどうにかしてやろうって思っています。今民間にいるからかもしれませんが、なんでもできるような気がしています!僕がこの現状を変えたいていきたいなと!
Q.自信とともに、目標も定まってきたって感じですか。
ここでようやく人生の目標、やってみたいことが固まった気がしています。28歳の今で。東京に来て、外側から自分の仕事を見てみて。今大阪、京都の担当をしているのですが、色々と違うなとわかって、やってみないといけないな、と思うきっかけになりました。2016年から福島に戻ります。やれないことも多いでしょうが、じっくり我慢してやっていくか、本当に難しければ転職してでもやってやると思っています!
伝えたいこと
Q.学生時代は楽しかったですか?
総じて言えば楽しかったです。その時もやりたいことはやってきたと思います。
Q.学生時代について、あのとき、もっとこうしていれば良かったと思うことはありますか?
それはもちろんいっぱいあります。もっと何かに注力しても良かったのかなと思います。どれか1つを消してれば志望校に受かったかなと。タラレバはきりがないので。後悔はあるけれど不満はなくて、満足している感じです。
Q.大学って、行った方が良いと思いますか?
選択肢が広がりますよね。よく言われるように潰しが利くから行った方がいいと思います。こういう話はあまり良くないとは思うのですが、私自身がそうでしたので。大学を出て、選択肢を広げて、行きついた先で目標を見つけたので。そんな理由でもいいのかなと思います。
Q.何のために、学校の勉強をしているのだと思いますか?
学校の勉強はしたかな??あまり覚えていないのですが、どこかで役に立つことがあるのだと思ってやった方がいいと思いました。公務員試験や会計で学んだ内容を仕事で使う必要があるので、大学の授業が意外と役に立っています。100学んだうちの5ぐらいが社会に出て役に立つと思います。
Q.学生時代に、やりたいことが決まっていた方が良いと思いますか?
今すぐにでなくてもいいけれど、自分の好きなものを決めた方がいいと思います。好きなもの、やりたいもの、これならやっていけるな、というものがわかっていたら良いですよね。合わなかったらしょうがないですし。元からやりたくないことはやっていても辛いですよね。
Q.社会人になって、人生は楽しいですか?
すごく楽しいです。私生活はずっと楽しいですし。友達との関係もですけど、年を重ねていくと好きなものが変わっていくのかな。若い頃はオールして遊んだり、富士山にいきなり行ったりとか。大学生のノリで社会人のお金で遊ぶみたいなことを昔はしていました。
Q.変化があったのですか?
それが、だんだん体力的なこともあるかもしれませんが、もうちょっと意識の高いようなことが面白くなって。セミナーとかに参加したり、お金に余裕が出てくると、ちょっといい旅館に泊まったり、それなりにお金をかける楽しみも経験ができています。
Q.それぞれの時代で得た経験で、今に大きく影響を与えているなと思うものはありますか?
海外での体験につきるかもしれません。努力が報われた気がしました。なかなかないチャンスをもらえたのかなと。運でもあるのかもしれませんが。国際的な仕事はたまたま自分の課の中での募集で、自分が行きたい、行きたいって言っていたので。その決定権のある人と仲良くなって、行けました。
Q.人間関係(アピール)ってやつですか?
人間関係も大事だと思います。人間関係であまり悩むことのないタイプなのかもしれませんが。もちろん苦手な人もでてきますけど、幸い異動のある仕事なので。
Q.その当時は、辛いな〜とか嫌だな〜と思ったけど今となっては本当に良かったと思える決断や選択、経験などはありますか?
福島の災害の時は辛かったです。でもそれがあったから今があるようなものですよね。予期せぬこともたくさんありましたが。どんなことだってありますよね。
Q.仕事について、大切にしていることや考え方があったら教えてください。
チャンスがあったら飛びついた方がいい。他の人と比べて、出る、光る杭になるにはどうしたら良いのかなと考えています。
Q.「チャンスがあったら飛びついたほうが良い」とは?
やりたいと思うこと、興味があることに飛びついていくと、見えてくるものがあると思います。なかなか公務員ではやりにくいのですが、失恋して自暴自棄になっていたからかもしれませんが(笑)そういう時期に失恋旅行に行って良いと言ってくれた職場のみんなには感謝しています。
Q.藤井さんにとって仕事とは何ですか?
今考えると、希望のつまった宝箱みたいな感じですかね。でも開けなきゃいけないですけどね。ただの箱だから、勇気を持って開けてみなきゃいけない。どんどん開けていくことなのかなと。
Q.どんどん開けていくことが大切なのですね?
もちろん、自分もじっと待っていた時期もありました。公務員になりたての時なんてそうでしたね。でもアンテナは張っていたのかもしれません。あと、私生活でも周りの、自分のいる環境を大事にしていました。元気で意識の高い人といることが大事で、その人たちから刺激をたくさんもらえて。全てアクティブにというのは難しいですけど、興味のあるところでの一歩が大切なのかもしれません。
Q.今の自分は昔自分が想像していたような自分ですか?
全然違います。体育会系で生きていくのだと思っていました。中学校の時に思っていたこととはだいぶ違いますね。環境とかで変わっていったのだと思います。
Q.これからのビジョンみたいなものはありますか?
旅行会社に来てみて感じているのは、もっと日本全国を周りたいですね。もちろん世界にも出たいです。で、その良いことを福島で繋げていきたいです。後は人脈を作りたい。色々な意識の高い人とつながって、どんどん自分の高みを目指したいです。まずは、福島県庁に帰って提言をして、押し通したいと思っています。せっかくオリンピックがあるので、そこで何かできればいいなと思っています。
Q.これから進路を考えていこうとしている高校生や大学生に、もし何か伝えたいことがあったらお願いします。
好きなことに飛びついてほしい。目標とか夢とかはないかもしれないですが、今は深く考えずに、やりたいことをやって、それがいつか繋がるかもしれません。いろんな挫折もあります。でも、それが生きる日が来ると信じて、アクティブに飛び込んでいってほしいですね。